かげで支える

 麦畑の黄緑が美しい季節となりました。学校生活も順調な日々が続いています。特に子どもたちの仕事ぶりが光っています。
 黒板係は、毎日放課後に翌日の予定や一週間の予定を、責任を持って黒板に書いていってくれるので、みんな先を見通して行動できます。とてもありがたいです。
 今まで仕事がなかった花・生き物係。先週、環境委員会から教室に鉢植えの花が配られたら、自主的に花に水を上げてくれています。さりげない心配りに感動しました。
 木曜日の委員会の後、5年1組のM先生に、5年4組の給食委員の働きぶりが最高学年のようにすばらしかったので、ほめられました。その話を聞き、頼もしく思えました。
 そして、先週の教室の黒板そうじは、黒板をとてもきれいにしてくれて、体育の跳び箱の後片づけには、たくさんの子が進んで手伝ってくれ、気持ちがよかったです。
 その他、いろいろ目立たないところで活躍している子どもたちの姿にたくさんの力を与えてもらって、たいへんありがたい毎日です。
 さて、先週の金曜日の音楽集会も感動的でした。高学年の歌声も心がこもっていて、低学年の歌声をリードしていました。そして、体育館いっぱいに全校の子どもたちの美しい歌声が響きわたり、本当にすばらしかったです。
 そんな気持ちのいい一週間の終わりの日に、他のクラスのある男の子の日記をみせてもらいました。

 5月16日。今日あったこと。今日4組の友達と外で遊んだ。突然、友達が言い出した。「あのさあ、なんかすごいくらいゴミが捨てられているよな。」そして、県営住宅の階段の近くで、さっき持ってきた袋を持って、友達が「きれいにゴミ取りをしようぜ。」と言ったので、2人でゴミ取りをした。
ポイ捨ての一覧⇒ペットボトル:1〜5本・雑誌新聞:10部ぐらい・おかしの袋:7〜14こ・その他:14〜30こぐらい・たばこ:な!な!な!な!な!な!なんと!!60本以上〜。

 この日記を読ませてもらい、そのクラスの担任の先生とふたりで感動しました。「本当にえらい!」
 なぜ5年4組の男の子は、ゴミ拾いを提案したのか。それは、木曜日に見た『道徳ドキュメント〜ポイ捨てをどうなくす?』を思い出したからだと思います。

   ごみがあふれる街角
 大企業のビルや官庁が立ち並ぶ東京都千代田区で問題になっているのが、ごみのポイ捨て。どうしてごみが捨てられてしまうのか?千代田区の職員小川賢太郎さんは、小さなたばこの吸殻が、他のごみを捨てやすくしているのではないか、と考えます。そこで、たばこの吸殻を路上からなくすことで、ごみのポイ捨てを減らそうと取り組んでいきます。
マナーに訴えてはみたものの…
 当初、小川さんは、人々のマナーに訴えることで、たばこの吸殻をなくそうとしました。街角には、灰皿も設け、マナーを守りやすい環境を整えました。しかし、いくら呼びかけても、路上に捨てられる吸殻は一向に減る兆しを見せませんでした…。
ルールで取り締まることの限界
 小川さんたちは、条例を設け、路上で喫煙する人を見つけ次第、二千円を徴収することにしました。厳しいルールでポイ捨てをなくそうと考えたのです。考えた標語は「マナーからルールへ」。効果はてきめんに現れたように見えました。ところが、人目につかない場所で、相変わらず吸殻は捨てられ続けます。
「マナーからルールへ。そしてマナーへ」
 マナーに訴えても目立った効果は現れません。しかし、ルールで取り締まっても吸殻がなくなるわけではありません…。そんな中で、小川さんは新たな標語を考え出した。「マナーからルールへ。そしてマナーへ」。マナーに訴えるべきか、それともルールで厳しく取り締まるべきか?二つの考え方の間で揺れながら、小川さんは今も街角をまわり続けています。

 授業では、ポイ捨ての問題、そして、大人のマナーの問題など、なかなか結論は出ませんでした。結局、『子どもの頃からきちんとしたマナーを身に付けなといけない』ということで授業を終わりにしました。
 テレビの小川さんを手本にしてゴミ拾いを提案した子とそれに賛同した子。日本もまだ捨てたもんじゃないと思い、目の前が明るくなりました。二人の力が原動力になり、きっとポイ捨ても減るでしょう。
 自主的にいつも地道に仕事をして、学級や学校や地域を支えてくれているみんな、ありがとう。