ステップ・バイ・ステップ

 11月8日(水)午後1時過ぎ。わたしは、他の2人の先生と少年自然の家から山への登山道を登り始めました。6年生のチャレンジスクールの登山のチェックポイントに立つため、子どもたちよりも先回りをして登った近道は、最初から急な上り坂でした。わたしにとって今回で3年連続3回目。フル出場の登山のお手伝いです。山に登る前はけっこう簡単に思える登山ですが、登ってみると、一年一年歳を重ねるごとに「こんなにきつかったかな。」と思ってしまいます。

 一機に登って尾根の上についたと思ったら、さらに急坂が続きます。息を切らせながら一歩一歩登っていくと子どもたちが通るコースの途中にたどりつきました。ここからは傾斜もなだらかで、道も少し下っています。少しアップダウンをし、わたしのチェックポイントである山頂への登り口のところにたどり着きました。あまり時間はかかっていないのに、すでに汗をびっしょりかいていました。

 この日は、前日の大風も忘れるくらいのおだやかな天気。気温もちょうどよく、緑につつまれた第6チャックポイント。わたしは心地よい気分で、6年生を待ちました。美しい自然は、本当に心を癒してくれます。

 しばらくすると、とぎれとぎれに6年生たちの班がやってきました。どの班もすごく明るく元気で、わたしの疲れた心と体にパワーを与えてくれます。そして、わたしの周りにはまた静寂がやってきます。そんな時、心に思い浮かぶのは1年1組のことばかりです。「給食こぼしていないかな。」「けんかしてないかな。」「そうじ、きちんとできたかな。」「帰りの会、うるさくしていないかな。」そんなことを心配しながらも、山のひんやりとした空気は、わたしをやわらかくつつんでくれました。

 こんなことを考えているうちに、6年生全員がわたしのチェックポイント通過し、6年生のチャレンジスクール第2日目の登山は、無事終了することができました。帰りは、すこしなだらかな子どもたちの通った道を通って少年自然の家へと帰りました。その後、夕食とキャンプファイアーに参加させていただき、夜になってから帰りました。山登りをしたり、男子と女子とのパイプ役として『マイム・マイム』を踊ったりと、心地よい疲労感を感じながら・・・・・・。

 そして、翌日、1年1組の子どもたちのことを心配しながら、学校に行きました。お世話になった音楽のK先生にお礼を言うと、K先生から「わたしはなにもしなかったけれど、給食もそうじもしっかりできましたよ。」という言葉が返ってきました。また、1年の他のクラスの先生からは、「しっかり勉強していましたよ。」「いないのかなと思うくらい静かに勉強をしていましたよ。」と、1年1組の子どもたちのことをほめてくださいました。その言葉を聞き、わたしは「1年1組の子どもたちもまた少し成長したのかな。」と思いました。

 子どもたちの成長と子育ては、山登りのようだと思います。アップダウンを繰り返しながら、一歩一歩頂上に近づいていきます。途中で疲れたり、苦しくなったり、休みたくなったりすることもあるけれど、最後まであきらめなければ、必ず山頂にたどり着くと思います。ステップ・バイ・ステップ。それまで、みんなで一歩一歩歩いていきましょう。

 少し山頂に近づいた昨日の朝の会の子どもたちの姿は、光り輝いていました。そして、担任にほめられ、みんなとても誇らしそうでした。

 一日がんばって勉強しましたが、帰るころには、前日の子どもたちの姿はどこかにいってしまい成長の登山は下り坂。でも、これから必ず上り坂がきっとやってくると思います。それを信じて、また前向きにがんばっていきたいと思います。