小学生の自分への思いを乗せて 2

 3校目の学校での最初の2年は、5年と6年の担任でした。その時から始めたのが、毎日の日記です。今思うとわたしの5、6年の担任のA先生と同じことをしていたことがとても不思議でした。きっと苦手だった『生活メモ』のことが心のどこかでひっかかっていたのだと思います。

 日記は、宿題で子どもたちが書くようにしていましたが、わたしのように書いて来ない子も何人かいました。文章を書けない子にも何とか書かせたい。そこで考えたのが今と同じ方法。学校で書くようにしました。そして、文章を書くのが苦手な担任であるわたしもトレーニングのためにコメントを書くようにしました。最初、ノートを集めて書くとコメントを書けないまま返すようになってしまったので、後から日記が書けた子からノートを持ってくるようにしました。こうするとわたしの前には子どもたちの列ができてしまい、どうしてもコメントを書かざるを得ません。

 毎日、子どもの日記を読んだら、一瞬でコメントを考えて書き、次の子どもの日記を読むという繰り返しの生活が始まりました。1年生でも6年生でも日記を書いたら並ばせてコメントを書く。そんなトレーニングをしていると、わたしでも不思議と文章を書くことが習慣になり、あまり書くことに対する抵抗感がなくなってきたのです。

 そして、定期的ではないのですが、学級通信を発行するようになりました。最初は、子どもたちの文章が中心で、担任の言葉は数行でしたが、書いていくうちにわたしの文章も多くなっていきました。『メイキング・オブ・運動会』『学校生活のエピソード』『学校行事の様子』など書いていくうちに、文章力のないわたしでも学級通信を作るのが楽しくなりました。

 そのうちに「エッセイを書きたい。」「旅行記を書きたいから東ヨーロッパに行って来よう。」「本を読んだ感想を載せたい。」「感動した映画を紹介したい。」「いい歌の歌詞を引用した文章を書きたい。」「ニュースを紹介したい。」「保護者の考えを紹介したい。」など、どんどん範囲が広がり、最近では雑誌のような学級通信になってきてしまいました。
ドラえもん』『ぼくらのヒストリー』『みんなのハーモニー』『SUNSUN3くみ』『さくらの見える教室で』『わくわく』そして、『ともだち』。40歳直前になってやっと本格的に発行できた学級通信。7作目になりますが、今ではふてぶてしくなり、好き勝手書くようになってしまい、申し訳ありません。また、昨年からは、学級通信を取っておいてもらって製本するようにもなりました。人生ってわからないものです。

 そして、今年の新企画のレインボーノート。わたしの5、6年の担任のA先生の『生活メモ』に似ていますが、おうちの人のコメントを書いてもらうようになり、いつの間にか3人の交換日記のようになりました。おうちの人に見ていただいているおかげで、わたしのように白紙状態の子は一人もいなくて、みんな毎日楽しく日記を書いています。親子と担任の日記『レインボーノート』。今年は、これも文集に綴じこみます。

 先週の土日、一人一人の絵日記などの作品と学級通信とレインボーノートの順番をそろえながら、この一年間の思い出がよみがえってきて、なつかしく思い、一人職員室でジーンと来てしまいました。

平成17年度2年4組学級文集『ともだち』。

「文章が下手でもいいんだよ。漢字は使えたほうがいいけど使えなくても、まちがってもいいんだよ。書きたいことを自分の好きなように書けばいいんだよ。それよりも毎日つづけることが大切なんだよ。」(なんだか夜回り先生みたいですね。)

 2年4組のみんなと文章を書くのが苦手だった小学生の自分への思いを乗せて、3月末にお届けします。