4 25年前の抱負

 3年2組のみなさんの抱負を読んでいたら、25年前の自分の抱負を思い出してしまいました。すごく個人的な話になると思いますがすみません。

 わたしが大学1年のころだったと思います。わたしが外国にすごく興味があることを知っていたのか、父が知り合いのロンドンに仕事で駐在している人に会わせてくれました。彼はちょうど帰国中で、ロンドンでの生活のことをたくさん話してくれました。その話がとても楽しくて、わたしはイギリスという国にとてもあこがれを抱きました。それから、彼とは手紙のやり取りをするようになりました。

 彼との話や手紙の中に「ロンドンにぜひ来てください。」という言葉があり、わたしは大学1年の1月に「今年こそロンドンへ行く。」という抱負を考えました。そして、ロンドンの地図を買い(今でももっています。)、英会話の勉強し(今ではなにもできません。)、二ヶ国語放送用のテレビも買って(今も使っています。)、言葉で不自由しないよう、ロンドン行きの準備をしました。

 当時一番の問題は、ロンドンへ行く費用でした。わたしの家はそのころからずっと貧しく、両親に大学の学費を出してもらうだけでもせいいっぱいの生活。外国へ行く費用は自分でなんとかしなくてはなりません。アルバイトはしていたけれど、その時のヨーロッパに行くための費用は高すぎて、どうすることもできずに、ロンドンへ行くのは、残念ながらあきらめました。それから、ずっと頭のすみにはロンドンのことがありました。

 あれから25年。やっとチャンスが訪れ、あの時の抱負が実現できたのが、今回のイギリスへの旅でした。

 今回の旅で、「イギリスはあぶないんじゃない。」「外国へ行けるなんて、お金持ちね。」「家族がよく許してくれたね。」「元旦から家をあけてもだいじょうぶ?」「イギリスは春から秋が一番いい時期ですよ。」「(昨日の学級通信を読んで)あなただってのんびりした他の日本人観光客と同じじゃない。」とたくさんの人が、いろいろな声をかけてくれました。

 でも、貧しいわたしにとっては、今年のこの一番旅行費が安い時期にしか、25年前の夢は実現できないと思い、とても危険なこの時期にこの旅行を実行しました。25年の歳月を考えると、わたしにとってただイギリスに4日間いられるだけで、とても幸せで、感動でいっぱいの旅でした。その感動を世界遺産の紹介とともにこれから3年2組のみなさんに伝えていきたいと思います。

 みなさんの中にも夢を持っている人はたくさんいますよね。その夢は今はかなわないかもしれないけれど、思い続ければきっとかないます。だから、これからも大きな夢を持って生きていって下さい。
My wish came true 25years later!
わたしの願いは25年後にかないました。

 みなさんは、9歳。もし25年後に願いがかなうとすると34歳。なんでもできそうですよ。だから、あきらめずにがんばっていってください。