B君の挑戦


 B君は、食べられるものが限られています。だから、毎日給食のときは、手をつけずに残すものがあります。給食が負担になりすぎると困るので、いつもどうしても食べられないものについては、担任に言えば残していいことにしています。

 今日の給食には、ミートボールが出ました。2つずつミートボールを配っていったら、どういうわけか、一人分足りなくなりました。困ってしまったので、
「ミートボールがあまり好きでないので、一つもらってもいい人?」
とみんなに聞きました。何人かが手を挙げました。その中にB君がいました。迷わずBくんから1つ、隣りの女の子かひとつもらいました。

 ここで、B君に挑戦させようと思って、
「ミートボールが一つになったので、残さないで食べて下さい。」
とわたしは言いました。B君にとってはかなりの負担だったと思います。

 少ししてこの条件はB君にとってはハードルが高すぎると思ったので、わたしは条件を変えました。
「一口でもいいから食べましょう。」
と。食べるものが、いくつかに限られているB君にとっては、この条件でもたいへんなことだと思います。それから、わたしは、その話題には触れずにB君の判断に任せることにしました。

 給食の片付けの時間が近づいてきました。すると、だれかが
「先生、B君が一口食べられたよ。」
と歓声を上げました。ほんの一口でしたが、B君にとっては、すごく大きな挑戦でした。みんなでB君をほめて、給食の時間は終わりました。