8年前の約束


 今日は、いよいよ3学期の始業式。今日は、隣りの県から転入生がやってきました。朝、始業式の前に教室に行き、そのことを子どもたちに報告すると、「ええっ。」と驚きの声と歓声が上がりました。

 始業式が終わり、教室で転入生を紹介しました。転入生は、しっかりとした女の子。初めてのクラスでも、きちんと自己紹介ができました。

 その後、一人ずつ、自己紹介を兼ねて、冬休みの思い出を発表しました。活気に満ち溢れたSUNSUN3組の子どもたちは、興奮状態で、なかなか落ち着きが取り戻せません。新年早々
「うるさーーーーーーい。」
の担任の怒鳴り声がとびました。その後、1月の学年便りを読んで、そうじをして、宿題調べをし、連絡帳を書いて、なんとか子どもたちを帰しました。

 帰ったあとは、のどが痛かったです。やはり2週間大きな声を出さないと、のども弱くなるのでしょう。でも、心配はいりません。明日から、子どもたちの活気に負けないくらいの声を出さずにはいられなくなるからです。

 話は昨日に戻りますが、昨日、昼食のカップのてんぷらそばとおにぎりをコンビニに買いに行って、学校に戻ってくると、事務室に何年か前に他の学校に異動されたとしや先生が来ていました。
「あっ、しばらくでした。今日はどうしたんですか。」
とわたしが聞くと、
「8年前、6年を担任したとき、子どもたちと8年後の二十歳になったら、集まろうと約束したんですよ。」
と、としや先生は言いました。
「いつ集まるんですか。」
とわたしが聞くと
「今です。8年後の1月7日の12時にここに集まるのです。」
ととしや先生が言ったので、時計を見ると12時5分前です。
「特に連絡をして、集まるのではなく、8年前に約束しただけなんですか。」
とわたしがいうと
「そう。何人来るか分からないけれど、だれが来てもいように待っているんです。」
と、としや先生は言いました。わたしは、夢のある話だなと思いました。また、8年前の約束をきちんと覚えていて、こうして来るか分からない二十歳になった子どもたちを待っているとしや先生もとてもいい先生だなと思いました。
だれが来るかいっしょに見届けたかったけれど、空腹になって、カップにてんぷらそばを食べるのを我慢できないわたしは、少しだけとしや先生と話をして、職員室で食べ始めました。
「一人でもだれか来てくれるといいな。としや先生が来たかいがあるのになあ。」と思いながら、わたしは、昼食を食べていました。

 食べ終わって、事務室をのぞいてみると、そこにはもうとしや先生はいませんでした。その後、としや先生はどうなったかわかりません......。