ゆずり葉

 群読『ゆずり葉』。以前、6年生の国語の教科書にずっと載っていたこの詩には、親の子どもに対する大きな愛情が満ちあふれています。読んでいると心が温かくなり、涙が出てきてしまいそうないい詩。6年生を送る会で6年生にプレゼントするのにふさわしい内容なので選びました。当初、授業参観では発表しない予定でしたが、先週の木曜日から練習を開始しました。全体で練習したのは、3回です。こんなに短期間でも成し遂げてしまう5年生の子どもたち。その気になったら何でもできてしまう可能性を持っています。6年生を送る会では、この詩の素晴らしさを6年生に伝えられるよう、引き続き練習をがんばっていきたいと思います。

  ゆずり葉        河井 酔茗

子供たちよ。
これはゆずり葉の木です。
このゆずり葉は
新しい葉が出来ると
入り代わって古い葉が落ちてしまうのです。

こんなに厚い葉
こんなに大きい葉でも
新しい葉が出来ると無造作に落ちる
新しい葉にいのちをゆずってー

子供たちよ
お前たちは何をほしがらないでも
すべてのものがお前たちにゆずられるのです
太陽のめぐるかぎり
ゆずられるものは絶えません。

かがやける大都会も
そっくりお前たちがゆずり受けるのです。

読みきれないほどの書物も
みんなお前たちの手に受け取るのです。

幸福なる子供たちよ
お前たちの手はまだ小さいけれどー。

世のお父さん,お母さんたちは
何一つ持ってゆかない。
みんなお前たちにゆずってゆくために
いのちあるもの,よいもの,美しいものを,
一生懸命に造っています。

今,お前たちは気が付かないけれど
ひとりでにいのちは延びる。
鳥のようにうたい,花のように笑っている間に
気が付いてきます。
そしたら子供たちよ。
もう一度ゆずり葉の木の下に立って
ゆずり葉を見るときが来るでしょう。

千里横行―河井酔茗詩集 (1966年)

千里横行―河井酔茗詩集 (1966年)