茜空

「転校すること、みんなに言っていい?」
「やだ。」
「なんで。」
「……。」
「はずかしいから?」
「うん。」


 3月16日の放課後のYさんとの会話。インフルエンザのためずっと学校に来られなかったYさんと今までできなかった鍵盤ハーモニカのテストをしたり、書写ノートや漢字スキルを仕上げたりしました。

 この日、Yさんは、一生懸命鍵盤ハーモニカを練習して、『こいぬのマーチ』を上手に演奏できるようになりました。また、書写ノートや漢字スキルの文字もていねいに力強く書けるようになり、この1年間の著しい成長を感じることができました。

 そんなふうにたくましく成長したYさんが、お父さんの転勤で東京に転校することになりました。とても残念です。

 Yさんの勉強が終わり、もう一人の友だちといっしょに帰ることになり、わたしも家の近くまで送っていくことにしました。
「明日、あそぼう。」
「うん。いいよ。」
「○○もさそおう。」
こんな会話が聞かれるのもあとわずかだと思うと、とても寂しくなりました。

 その日の帰りの車の中。ラジオからレミオロメンの『茜空』という新曲が流れました。

茜空に舞う花びらの中 夢だけを信じてかけぬけろ
瞳とは未来そのものだから 輝かせて
茜空 夜と朝の狭間で 始まりの孤独に染まろうと
瞳には未来が輝いている そう春だから そう春だから

 Yさんには、新しい学校で友だちをたくさん作って、がんばってもらいたいと思います。そして、1年1組のみんなも、4月から新しい学級で新しい友だちや新しい先生と楽しく過ごしてもらいたいと思います。

茜空 (通常盤)

茜空 (通常盤)