山あり谷あり、秋の旅行

「これからあそこまで歩いていくんだよ。」
展望広場から歩き始めた子どもたちにわたしは言いました。
「エエーッ。」子どもたちが驚きの言葉を発するほど、動物園への道のりは遠い感じがしました。

 2006年10月11日(水)。全校運動で高学年が校舎北側を走るということなので、わたしたちのバスは大急ぎで出発しようとしました。でも、3号車は、自分の座席の席につけなくてなかなか出発できませんでした。

 外は曇り空。天気予報では、午後から雨ということなので、安心しながら、なんとか出発できました。3号車の中は、少し緊張しているせいか、静かにバスガイドさんの話に耳を傾ける子どもたちの姿が清々しかったです。運動会の団別にバスに乗ったのは、また雰囲気が変わってよかったと思います。

 ガイドさんとお話をしたり、歌を歌ったりしながら過ごし、A市に入ると、小雨が降り始めました。川を渡り、山の中腹でバスを降りるときも小雨は降り続いていましたが、予定通り、ハイキングは行うことになりました。これから雨が強くなることが心配されるので、到着後すぐに出発。雨はまだカッパを着るほどの強さではありませんでした。足早に展望広場に向かうと、下見の時よりも早く到着したように思えました。町並みは思ったよりもよく見えました。

 ここではトイレ休憩をとる予定でしたが、そんな余裕もないまま、一口の水補給だけですぐ出発。いよいよとても危険な公園への急坂を降りることになりました。降り口からは、はるか遠くに遊園地が見えました。降り続く雨。ぬれていく登山道。滑りやすい状況の中、子どもたちは緊張しながら、足早に公園への急な坂道を降りました。ここで転んでしまった子もいましたが、大事には至りませんでした。

 公園の駐車場。降り止まない雨のため、ここでカッパを着、トイレによってすぐに出発。今度は交通量のある一般道を歩きます。子どもたちは、小雨のためのんびりとした雰囲気は見られず、一生懸命歩いています。小雨の中のハイキングがかえって、ほどよい緊張感を保ち、アッという間にハイキングの時間は過ぎ、予定よりもとても早く動物園南門に到着しました。

 到着して、すぐに写真を撮ろうとすると、すでにとC小が写真を撮っていて、少し小休止を取りながら記念写真の準備ができました。写真を撮り終え、動物園内に行くと、たくさんの幼稚園、保育園、小学校の子どもたちでごった返していました。動物園は、他から来た子どもたちの探検タイムや写真タイムの真っ盛り。中央広場にはD小がいるスペースはほとんどありません。そして、園内は動物を見学する子どもたちでいっぱいです。

 そこで、わたしたちは、南広場はとても空いていたので、予定より早かったけれど、10時40分から1時間かけてゆっくりとお弁当を食べることにしました。なぜかその時になると雨は止んでくれました。子どもたちは、班ごとに愛情のこもったお弁当をさっそく食べ始めました。みんなとても幸せそうに美しいお弁当を頬張っていました。これほど時間をとってお弁当を食べたことはないくらいゆっくり食べることができました。1組の子は、お菓子もゆっくり楽しみながら食べていました。
 そして、集合時間。まだ食べていたい子も多かったけれど、後片づけを済ませ、動物園探検の出発地点へ移動しました。その頃になると、他の学校や幼稚園は、お弁当に時間になり、見学する人は幾分減ってきました。

 『走らない』『はなれない』『班長はチェックポイントできちんと報告する』という約束を守ることを確認しながら、班のメンバーと協力する学習の動物園探検が始まりました。わたしは、南門担当だったので、先回りをしてチェックポイントに立ちました。12時が近く、お弁当を食べている団体が多いとはいえ、動物園を見学する子どもたちも多かったです。D小の子どもたちは、班ごとにそろってチャックポイントに来て、班長が報告し、シールをもらって次のチャックポイントに向かう子どもたちが多かったです。

 でも、時間が経つにつれ、「先生、○○さんがいなくなりました。」とか、電話で「○○さんが迷子になって待っています。」とか、「○○さんがどこかに行ってしまったそうなので、いたらそこで待たせてください。」などという連絡が多くなって来ました。中には最初から班がバラバラになり、班の子を探していたため一つもチェックポイントを回っていない班もありました。

 集合時間が近づき、まで残っている子はいないか確認しながら、集合場所に向かうと、いなくなった班の子を探すD小の子に何人も会いました。
「先生が探して、その子に広場に行くように言うから、みんなのところに行っていていいよ。」
と言っては、お互いに探し回っている子を集合場所に向かわせていると、
「1組○班だけ、チェックポイントに来ていません。」という他の先生の連絡が入りました。慌ててその班を探し、チェックポイントに向かわせて、やっと動物園探検の時間は終了。ずっとチェックポイントに立っていただけだったのに、最後はいろいろな迷子事件が起こり、なぜか疲労感を感じるグループ活動でした。でも、うまくいかなかったことも勉強。みんなで力を合わせるということは、自分のやりたいことを我慢することということがわかった子もいると思いますので、これからの学校生活に生かしてもらいたいと思います。

 帰りの3号車。動物園を動き回った後とは思えないほど、バスの中は○×クイズで盛り上がっていました。学校に着くころには、雨足は強くなっていました。

 今年の秋の旅行は、あまりお天気には恵まれず、ハイキングはハラハラドキドキしましたが、子どもたちは、あの山あり谷ありのコースを一機に歩き切りました。また、動物園探検では、いろいろな班があり、山あり谷ありの連続でした。そして、これからの学校での生活もいろいろなことが起こり、山あり谷ありだと思いますが、今回の旅行をみんなで力を合わせて乗り越えられたことを心に、どんなことにも立ち向かっていくたくましい子どもに育っていってもらいたいと思います。

♪いろんなことがあるけど、どれもこれもそれはきょうのプレゼント♪
♪あしたもげんきにがんばれるためのエネルギーげんだから♪
♪かんしゃして、かんしゃして1にちをおわろうよう♪
♪おわろうよ、おわろうよ、おわろうよ、チャチャチャ♪