終戦六十年スペシャルドラマ『火垂るの墓』


 今日の午後、実写ドラマ化された『火垂るの墓』の再放送を見ました。

 実写ということなので、現実味がある上に、最近では同じようなことが起こりそうな世の中の風潮なので、見ていて恐ろしかったです。

 このドラマは、アニメと違って、清太と節子の兄妹を預かる母の従妹の澤野久子(松嶋菜々子)を中心に描かれていました。

 夫を戦争で亡くした上に、食糧事情が次第に悪くなり、鬼のように清太と節子につらく当たるようになる久子の姿を通して、「戦争は、きれいごとではない。」「こうなってからではおそいんだよ。」というメッセージを送っているように思えました。

 わたしたちは、日本の歩む道を人任せにし、なんとなく雰囲気に流されてきた結果、気がついてみれば、ここ数年で、みんなが夢を実現しにくい世の中なってしまいました。そして、これからますます生きにくい方向に向かうような雰囲気を漂わせている日本の政治。

 これから、わたしたち一人ひとりが、周りに流されるのではなく、自分の頭で考えて行動しなくてはならないことを強く訴えているドラマだと思います。

 原作者の野坂昭如氏もドラマ化に寄せて、次のようなメッセージを書いています。

「今の若者にとって、国際情勢や国内における問題は、自分たちの頭上をただ通過していく雲のような存在であるらしい。それが直接戦争へと結びついていなくても、どこかで関わり合いを持つ。日本は、少しずつ戦争に近づいている。
 先のことを本気で考えられるのは、これからを生きる若い世代なのだ。
 新聞やテレビなどマスコミで報道されている内容について、鵜呑みにしてはいけない。それが正しいのかどうか、まず疑ってみること。
 さらに、大切なのは言葉。意見が違っても構わない。自分の言葉をつかって、他人と喋りあうこと。それは、国と国とが喋りあうことに繋がるのだ。」             「ザ・テレビジョン」No.44号より

 清太と節子の家族は全員戦争で命を落としました。澤野家は、父は戦死したもののあとは、全員生き抜きました。そして、わたしたちも今を生きています。

 このドラマを見終わって、戦争の惨たらしさを改めて感じることができましたが、さらに、今の世の中は、戦争で亡くなった人々の犠牲の上に成り立っていると強く思えました。

 今日家に戻ってきている先祖の魂に感謝したいです。

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