格別の1年生をむかえる会

「今日は、おにいさんやおねえさんに、心のこもったプレゼントをたくさんいただいて、よかったですね。1年生をむかえる会でプレゼントをもらえるのは1年生だけです。いただいたプレゼントは、大切にしましょう。来年の今ごろはみなさんは2年生になっています。今度は次の1年生にプレゼントを贈る番です。これから1年間、いっしょうけんめい勉強したり、運動したりして、りっぱな2年生になって、今日のお返しを次の1年生にしてあげましょう。」

 4月21日(金)の2時間目。1年生をむかえる会が終わって、教室にもどり、わたしが2年生からあさがおのたねのプレゼントをもらっている場面を思い出しながら、クラスの子どもたちにこんな話をすると、1年1組の子どもたちからは、力強い返事が返ってきました。手には、5年生が上手に作ってくれたかざぐるまを持ち、頭には4年生が心をこめて折ってくれたかぶとをかぶり、子どもたちはとても幸せそうでした。そして、2年生が大切に育てたあさがおの種を子どもたち一人一人にわたしました。

 今年の1年生をむかえる会は、早朝の雨のため、校庭のコンディションが悪く、急きょ体育館で行われることになりました。予定されていた2年生との綱引きや5年生とかざぐるまを持って走ることがとりやめになったことは、とても残念でしたが、むかえられる側の1年生とむかえる側のおにいさんおねえさんたちとが間近で向き合えることができ、心温まる会になりました。

 どの学年のプレゼントも心がこもっていてありがたかったのですが、わたしが、個人的に特に感動した場面が2つありました。

 一昨年と昨年の2年間担任をさせていただいた3年生の子どもたちの歌のプレゼント『スタートライン』。この曲は、昨年度1年間2年生の歌の指導をして下さり、この4月にD小学校を去られたT先生が、3月に新1年生へプレゼントするために教えて下さった最後の曲でした。3月まで贈る側にいたわたしが、今は贈られる側にいることがなんとも不思議でした。

 3年の子どもたちは、1年生の目の前に小学校に入学しての2年間の成長した姿で立ちました。そして、次の瞬間、わたしは、3月まで担任していた子どもたちとバチッと目が合いました。
「先生、聴いていてください。」
「力いっぱい歌うんだよ。」
わたしたちは、心の中でそんな会話をしながら、『スタートライン』は始まりました。

きせつめぐり はながさく わすれないで さきはじめる
だいすきな かぜにふかれ すなおになり さきはじめる
くらべられない うつくしさのなかで
みんな みんな さきほこる
きのうにさよならして こころのなかに もういちど
スタートラインを ひきなおしてみよう

 別れてからたった1ヵ月でしたが、一回り大きく感じた3年生。この瞬間、この歌のように、彼らは新しいクラスメートと先生とともに、わたしはかわいい1年生とともに再スタートをきることができました。

 そして、もう一つの感動の場面。それは、1年生が6年生と退場するところでした。ちょうど3年前、わたしがD小に初めてお世話になって担任をさせていただいた3年生。あのヤンチャだった子どもたちが大きく成長し、頼もしい6年生になって1年生をおんぶして退場する後ろ姿。そんな幸せな光景を見ながら、わたしはまたかわいい1年生とともに1年間がんばっていこうと改めて思いました。一年後、あさがおの種を胸に、大きく成長してこの場所に立っている2年生の姿を見るために…。

 こうして、今年の1年生をむかえる会は、わたしにとって格別なものになりました。