Feel the wind 〜風を感じて〜

優勝という形で終わった“野球人生最高の日”
王JAPANが苦闘の末、初代世界一に! ワールドベースボールクラシック(WBC)決勝、キューバvs.日本が2006年3月21日(日本時間)、米国のペトコ・パークで行われ、日本が10−6で乱打戦を制した。日本は、見事に参加16チームの頂点に立った。
勝った瞬間、イチローは二度、三度、右手でガッツポーズを取った。小走りで、内野にできた歓喜の輪に加わる。念願だった王貞治監督の胴上げにも加わると、相好を崩した。
「数字を残しただけの人ではない。こんな人は見たことがない」
 そんな監督の重み、イチローはどう感じていただろうか。
 その後、キューバの選手と握手。彼らからは記念撮影を求められる程の人気。またイチローダッグアウトで、スタンドから沸き上がる「イ・チ・ロー」コールの指揮を取るほど上機嫌だった。
 セレモニーが終わって、場所をクラブハウスに移す。 105本のシャンパンが並べられたテーブルの横に立った王監督の、
「諸君は、素晴らしい。今日は、とことんやるぞ!」
で、シャンパンファイトがスタート。直後、真ん中で集中砲火を浴びたのはイチロー
「お前ら、先輩を敬えよ!」
と絶叫したが、その声、上原浩治らのコールにかき消されてしまう。 自然発生的に、「イチロー」コールが起こっていた。
「本当にふざけた野郎どもだ」
 ただ、そう言いつつも、イチローは目を細めていた。
「野球をやって、強くなれたのがうれしい。本当にものすごいプレッシャーでした。でもこんな形で終わるとは思わなかった。野球人生最高の日です」
 そのプレッシャーを背負ったイチローを支えたのが、チームメート。彼は、その仲間をたたえることも忘れなかった。
「最初、アメリカに渡って、みんなの動きが変わった。これはちょっとまずいなぁと思ったけど、最大の屈辱があって……。でも素晴らしい仲間と野球ができたことが本当にうれしい。素晴らしいチームでした、キューバも。でも、僕らも、どの世界でもやれるということを、このチームメートたちに盛り上げてもらった。グラウンドでのモチベーション、パッションがすごい。このチームで、メジャーでやりたいぐらいです。それぐらいすごいチームです。」
           
野球人としていい勉強をさせてもらった
その後、記者会見場に姿を見せたイチローは、シャンパンの匂いをプンプンさせながら、壇上へ。帽子を逆さにかぶったまま、松坂大輔と並んだ。
 イチローは、この大会を総括して言う。
「オリンピックと違って、このWBCが本当の世界一を決める大会だし、僕は、だからこそ参加したわけですけど、まあ結果として、チャンピオンになった。これは、僕の野球人生にとって、最も大きな一日と言っていいと思います。ただ、優勝した瞬間というのは、1カ月ということでしたけど、素晴らしい仲間とプレーできて、素晴らしいチームになって、このチームと今日で別れなくてはいけない寂しさ、喜びと同時に沸いてきました」
 あしたからは、マリナーズに合流。この数年、チームとして感じられなかった喜びを複雑にかみ締めていたのかもしれない。
 大会を通して、チームを引っ張ったイチローの背中。松坂は常に見つめていた。
「この日本代表のシンボルのような人だった。当然、言葉でみんなを奮い立たせるようなこともありましたけど、ほとんどは背中でチームを引っ張っていたと思うし、あれが本当に、『背中で引っ張るということなんだなぁ』と目の前で見せてもらいました。刺激を受けたのは、僕だけじゃない。みんながイチローさんの背中を見て、刺激を受けた。野球人として、いい勉強をさせてもらいました」
 22日、イチローと大塚だけがアメリカに残り、ほかの選手は日本へと旅立つ。
 イチローは寂しげな笑みを浮かべた。
「日本のプロ野球の結果が、気になるかもしれないね。これだけ仲間ができると」
 3年後を問われれば、力強く言っている。
「そういう選手でいなきゃいけない。声が掛かる選手でありたい」
 So long! “日本のシンボル”イチロー


 最後に、こんなすばらしいニュースを学級通信に掲載できて、本当によかったと思います。
 この文集は、2年4組の1年間を思い出に残したものです。学級通信と3学期に書いた最後の作文と子どもたちが自分自身の書いた絵日記などの作品をほとんどすべて綴じこみました。
 Feel the wind 〜風を感じて〜
 大きな帆を張っていろいろな風を受けるヨットの航海のようなこの1年。同時にこの一年間でのニュースやできごとなどを通して、担任が心で感じたことも掲載させていただきました。みなさんも何かを感じ、何かを考えていただければ幸いです。

 もうすぐ3年生。新しい航海が始まります。これからも大きな視野と広い心を持って、いろいろなことを感じながら前へ進んで行ってください。

 そして、いつでもこの文集にもどってきて、2年4組での生活を思い出して下さい。
So long! 素晴らしい2年4組の諸君!