さよなら前橋テアトル西友

クロージング特集

 1月14日、新聞の『前橋テアトル西友・クロージング特集』の記事が目に止まりました。

 前橋テアトル西友は、現在前橋市唯一の映画館です。その映画館が今日をもって閉館してしまいます。前橋テアトル西友は、1987年9月に前橋西武WALK館(現WALK前橋店)の開店と同時にオープンし、18年にわたりハリウッド大作からアート系の作品までたくさん上映してくれました。

 この映画館がオープンしたのは、わたしが結婚した年で、妻といっしょにこの映画館に初めて行きました。こじんまりしていたけれど、当時は最新できれいな映画館。人気のある映画には行列ができるほどにぎわっていました。わたしが妻と見た映画で覚えているのは『ウィロー』です。

 しかし、その後、太田や伊勢崎や高崎にいくつものスクリーンのあるシネコンがオープンし、観客は少なくなりました。そして、前橋西武からリビン前橋に変わり、リビンも数年前に閉店し、残ったのはWALK館だけとなりました。

 そして、14日の新聞では、14日から閉館の今日まで「クロージング特集 〜テアトルより愛を込めて〜」ということで、18年間の感謝を込めて、近年の名作を一挙5作品上映していたそうです。

 『タイタニック』・『アメリ』・『Mr.インクレディブル<吹替版>』・『鉄道員 ぽっぽや』・『ライフ・イズ・ビューティフル』の5作品を1000円均一で上映。そして『ニュー・シネマ・パラダイス<デジタル・リマスター版>』をオープン当時の料金の1300円で、さらに、『風と共に去りぬ<ニューマスター>』を通常料金で、上映したそうです。

 また、映画“掘出し物市”ということで、資料として保存していた劇場オープンからの上映作品チラシと近年のポスターを、今日から劇場前通路に展示し、お客さんにプレゼントしていたそうです。

 わたしは、思い出の映画館がなくなってしまうので、14日の夕方、思い立って、劇場前まで行ってみました。外は雨。『風と共に去りぬ』の初回が上映中で、劇場前の通路には誰もおらず、薄暗く、ひっそりしていました。かつてリビンに通じていた通路も閉鎖され、さびしさをひしひしと感じま
す。
「以前は、この通路はたくさんの買い物客が通っていたのになあ……。」
と心で思い、映画館のウィンドーを見ました。そこにはクロージング特集で上映される映画のポスターがはってありました。

 とてもなつかしいかったです。この映画館には18年間に877本の映画が上映され、133万人のお客さんが入場したそうです。ロングラン上映第一位は『タイタニック』、入場者記録第1位は『もののけ姫』だったそうです。

 そして、通路にはこの映画館で上映された映画のポスターやちらしが、だれかに持っていってもらうのを待っているかのように並べられていました。壁には、オープン当時のちらしも展示されていました。 

 わたしは、最後にもう一度この映画館で映画を見たいなと思いながら、ガラガラの駐車場に向かいました。