ノー・マンズ・ランド

 ボスニア人のチキの彼女のことをセルビア人のニノが知っていて、彼女の話をしている場面は、少し心が和み、このままこの二人は仲よくなるのではないかと期待しながらみていました。ボスニア紛争が始まるまでは、こんなふうにセルビア人とボスニア人が隣人としてごく普通に仲よく暮らしていたことがこのシーンからよくわかりました。

 でも、いったん紛争が始まってしまうと個人的には憎しみではつながっていなくても、民族がちがうというだけで、憎しみ合い、殺しあわなくてならなくなってしまいました。セルビア兵が、敵がひっかるようにと、平気でボスニア兵の死体の下に地雷をしかけていました。死んだと思われていたそのボスニア兵の意識がもどってからは、はやく助けてやりたいと思いながら、見ていましたが、助けてやりたくてもだれも助けてあげられないのが戦争だということも訴えていたのだと思います。

 この映画では、マスコミのあり方についても表していたように思います。マスコミが報道することにより、国連防護軍が動き出したのは、マスコミの力ががいい方向に働いた例だと思います。スクープのためには、人の気持ちも考えずに無神経にインタビューしてしまうのは、悪い面だと思います。

 最後の終わり方には、なんともやりきれない気持ちにさせられました。やはりこれが戦争なのだと思いました。

ノー・マンズ・ランド [DVD]

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