シービスケット

 わたしは、この映画をロンドンから帰る飛行機の中で見ました。その時は、この映画のことも、アカデミー賞にノミネートされていることも何も知らずに見ていました。何度も出てくるレースの場面。その迫力と馬の走りの美しさ。こんな映像を撮れるのはすごいと思いました。そして、クライマックス。心の中にじわじわと感動が巻き起こってきました。

 そして、つい最近見た2回目の『シービスケット』。1回目よりもいろいろなものが見えてきました。

 株の大暴落によって財産と息子を失った自動車王。人間よりも馬と心が通じ合う調教師。そして天才的な騎手の才能がありながら、家族と離散してしまった青年。禁酒法の施行された時代に、3人はメキシコで出会います。心の傷を負った彼らを結びつけるのが、骨折から再起したサラブレット、シービスケットでした。人間が馬を育て、馬が人間に勇気を与える。それぞれの出演者がすばらしく、シービスケットに希望を託す姿には心を打たれました。

 ストーリーは静かに展開し、ナレーションもいいし、音楽も効果的に使われていて、おまけに映像が美しい。残念ながらアカデミー賞は取れなかったれど、わたしは、この映画は、作品賞をあげたいくらいすばらしいと思いました。

シービスケット [DVD]

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