ウソつき ホラ吹きは、夢吹き

 以前ご紹介した塾の経営者の方からのメールです。

 今日は、哀しい連絡がありました。一人の私が関わった子どもの母親が亡くなりました。その連絡でした。脳腫瘍でした。私が24人目になくした人となりました。いっぱい幸せになってほしい人でした。

 今から11年前、私は一人のものすごい嘘つきの暴走族の少年と知り合いました。話すことの大半は、嘘やほら。ともかく、まじめに話すことのできない少年でした。でも、憎めなかった。彼は、友だち思いで、警察に追われた時はいつもしんがり(最後尾)を走り、仲間を命がけで守る。そんな子でした。彼が、寂しい顔になって真顔で話す言葉は、いつも「俺なんか、生まれなきゃよかったんだ」でした。

 彼の母親は、目が不自由でした。21歳の時に会社帰りに乱暴され、妊娠。親から中絶を命令されたにもかかわらず、一つの大切な命を出産し、親や親族から離れ、一人で彼を大切に育ててきました。彼は母親思いでした。どんなに夜遊びして朝つらくても、毎朝仕事に向かう母親をバス停まで送っていっていました。私の大好きな少年でした。

 私が彼と知り合って半年後、彼は暴走中にパトカーに追われ、逃げる仲間を守ろうとして転倒、亡くなりました。彼の葬式を忘れることができません。母親と暴走族の仲間たちで彼を送りました。母親の「この子は、嘘つき、ほらふきだったと思います。みなさんにいっぱい嘘をついたと思います。でも、私のような母親を抱えて、この子は嘘でもほらでもついて、夢を見ないと生きれなかったんです」。

 この一言にみんなで泣きました。私は、母親にいいました。「彼は、嘘つきやほら吹きではないです。夢吹きです。彼のいうことにはいつも夢があった。こうしたい、ああしたいが、こうだ、ああだとなってただけです。彼は、言ったことを本当のことにしようといつも頑張ってましたよ」

 それ以来、私は子どもの嘘やほらが大好きです。子どもの嘘やほらには夢がある。過去や今から離れ、明日を作ろう、という夢があります。

 多くの親や大人は、子どもが嘘やほらを言うと叱ります。 私は違います。「いいんだよ。もっともっと、大きい嘘やほらを吹きなさい。ただし、ついた嘘やほらが本当のことになるようにやってみるんだよ。嘘やほらも実現すれば、嘘やほらじゃなくなる」(2005年1月17日 毎日新聞)

夜回り先生

夜回り先生

■コメント
上の記事は、ミラノに住んでいるAさんからの紹介です。夜回り先生として有名になった、横浜の水谷先生。水谷先生は、Aさんの旧友。「うそつきは泥棒の始まり」といった一面からの考えを持っていた僕は、ちょっと考えさせられましたね。21日(今日)にはTVで放映されます。時間があれば見てください。


 夜回り先生って、すごい先生だと思います。まだ見たことがないので見てみたいと思います。