雨の日の秋の旅行と『おどるポンポコリン』№5

「食事やおやつを食べ終わって何分もしないうちに出発して、気分が悪くなる子がいるのではないか。」それが、わたしの心の中に生まれてきた不安でした。でも、雨は降り続いているため、これ以上そこにいても仕方ないので、バスは出発しました。
 出発すると、バスガイドさんのお話が始まりました。ガイドさんは、この短い旅行の間に子どもたちとのコミュニケーションをとろうと、楽しいお話をしてくれたり、動物園のことをいろいろ質問してくれたりしました。ところが、エネルギーを蓄えた子どもたちはガイドさんの話は、そっちのけ。パワーが炸裂して、
「歌は……。」「歌を歌いたい。」「早く歌おう。」
と口々に叫ぶのです。ガイドさんは子どもたちの要望に応えてくれて、すぐに音楽をかけてくれました。そして、再びあの『おどるポンポコリン』がバスの中に流れました。子どもたちの驚くような元気な歌声。子どもたちのところに行って一人一人にマイクを差し向けてくれるガイドさんの心遣い。帰りのバスは、朝以上の大盛り上がり。学校に着くまで子どもたちの元気な歌声は続きました。だから、気分の悪くなる子はひとりも出ませんでした。そして、子どもたちのことをいろいろ考えて、お世話をして下さったやさしく明るいバスガイドさんと運転手さんとの別れ。みんなで心を込めてお礼を言いました。「ありがとうございました。」
『雨の日の秋の旅行』。予定していたグループ行動はできなかったけれど、クラス全員で同じ動物を見て、感動を分かち合った動物園の探検。狭かったけれど片寄せあって食べたおいしいお弁当。そして、バスの中でみんなが心を一つにして大声で歌った歌の数々。この日でなければ作れなかった思い出がたくさんできました。このたくさんの思い出は、1年の子どもたちの笑顔や元気な歌声が作ったのだと思います。とても素敵な1年生。これからも、いつも前向きに生きていってもらいたいと思います。
次の日の朝起きると、外は久しぶりの青空。ちょっとくやしかったけれど、わたしの心には、子どもたちへの感謝の気持ちとこんな歌声が……。
♪ピーヒャラ ピーヒャラ パッパパラパ ピーヒャラ ピーヒャラ おどるポンポコリン ピーヒャラピ おなかがへったよ〜♪(おわり)