雨の日の秋の旅行と『おどるポンポコリン』№4

 声をかけてきてくれたのは、C小の桜井先生でした。しのぶ先生は、おととしD小からわたしと入れ替えにC小に異動した先生。後ろには、かわいい1年生が並んでいました。C小は、D小と同じように今日の旅行は雨天決行。予定を1時間ずらして、学校を出発したのだそうです。わたしたちは、今日、初めてお客さんに会えて、少しホッとしながら別れました。雨足は、少し強くなったような気がしましたが、きっとC小の子どもたちも動物たちとの出会いを楽しんだことでしょう。
 そして、いよいよここの旅行での最大の楽しみ、お弁当の時間です。
「せっかく作ってもらったお弁当です。絶対に落とさないように気をつけて食べましょう。時間はたっぷりありますから。ゆっくり食べてください。いただきましょう。」
というわたしの言葉で、子どもたちはいっせいお弁当を食べ始めました。そして、しばらくはバスの中は、とても静かになりました。それだけ、子どもたちはお弁当に夢中になっていたのだと思います。
「先生、見て。これ作ってもらったの。」
わたしの近くに座っている子が、お弁当のおかずを満面の笑顔で見せてくれました。おうちの人と離れていても、こういうときに親子の心が通じ合うのだと思いました。青空の下、シートを敷いて食べるほうが気持ちいいのに決まっています。バスの中ではとても食べづらかったけれど、となりの人と片寄せ合いながら、じっくり落ち着いておうちの人の愛をかみしめることができました。お弁当を食べ、大好きなお菓子を食べ、バスの中は熱気でムンムンして来て、1号車のバスの窓は曇って外は見えません。
 ゆったりとしたランチタイムは終わり、いよいよバスは出発です。そして、子どもたちもパワー全開。でも、わたしの心の中にはある不安が沸いてきました。(つづく)