雨の日の秋の旅行と『おどるポンポコリン』№2

 やはり、雨でした。しかもかなり大粒の雨。わたしは、かなり心が暗くなりながらも、学校へ向かいました。今年の一年生は、春の遠足も雨にたたられて、二度も延期。とてもかわいそうに思っていたところに、秋の旅行もこの大雨です。本当に残念でしかたありません。わずかな望みを持ちながらも、わたしは雨の中、車を走らせました。
学校に着くと、先生方と旅行の日程の検討をしました。A山からB公園を通り、C公園に向かうハイキングは中止。そして、時間をかけて準備をした動物園のグループ行動もクラスでまとまって見学することになりました。もっとも残念なのは大きな屋根のあるところがなく、バスの中でお弁当を食べなくてはならないことです。そうです。この1年生は、まだシートを敷いてお弁当を食べたことがないのです。
 でも、一生に一度の1年生の旅行。天候に左右されずに、楽しく過ごし、心に残る思い出をみんなで作りたいと思いました。そこで、バスに乗ってから、わたしは、朝のあいさつで「今日は、雨でとても残念です。でも、みなさんがこれから生きていく中では、晴れる日ばかりでなく、雨も降る日も、雪も降り日も、時にはひょうが降る日もあるでしょう。でも、それでがっかりするのではなく、雨の日は雨の日で楽しく過ごしていきましょう。そして、せっかくの旅行です。楽しい思い出を作って行きましょう。」と話しました。『どんなに条件が悪くても、人生を前向きに生きていこう』というわたしからのメッセージ。子どもたちにはどれくらい伝わったかわかりませんが、バスガイドさんは、すごく大きくうなずいてくれました。
 バスは、順調に旅行先に向かっていました。バスガイドさんは若そうですが、とても慣れていて、お話も上手で、バスの中を盛り上げてくれました。子どもたちも大喜びです。そして、いよいよ急きょ用意したアニメソング。子どもたちは、とても元気に歌ってくれました。そして、ガイドさんも、子どもたちのところへマイクを持ってまわってくれました。雨脚は弱まる気配はなかったけれど、バスの中は盛り上がりました。でも、こんな雨で動物園が見学できるのでしょうか……。(つづく)