アテネの夏・ぼくらの夏③

 今日は、5時間目に2学期の係を決めました。みんな協力的な態度ですぐ決まったので、残った時間は校庭で『高おに』をしました。一学期よりみんなが仲良くなり、とてもいい雰囲気で楽しく遊ぶことができました。ということで今日はチームワークのいいアテネオリンピック体操男子チームのお話です。

 かつてニッポンのお家芸と呼ばれた体操競技。1960年ローマ五輪から1976年モントリオール大会まで5大会連続で団体優勝を果たしていましたが、アトランタシドニーと2大会続けてメダルなしというつらい時代を過ごしてきました。

 その日本チームがアテネオリンピックの男子団体予選で首位。決勝の床で8チーム中7位と出遅れ、あん馬で3位と、硬さが残るスタートでした。そして、つり輪。懸命に練習に励んできた水鳥選手が大舞台で力を発揮し、後方伸身2回宙返りで着地。ほぼ完ぺきな演技でまとめ、一気に2位に浮上します。この時の首位を走るルーマニアとの0.425の差が5つ目の種目「平行棒」で一気に縮まります。その差0.063。ルーマニアの背中が手の届くところまできましたが、逆に0.062ポイント背後には3位アメリカが迫ってきていました。

 最後の種目「鉄棒」は、まずトップのルーマニアが演技。しかし2人目セラリウがまさかの落下で脱落。激しい「U! S! A!」コールの中、アメリカも点数は伸び悩みます。日本が失敗さえしなければ金メダルという状況になりました。この土壇場、異様に盛り上がった会場の雰囲気の中で、米田、鹿島、冨田の3選手は、実に落ち着いた演技を披露しました。
「伸身の新月面が描く放物線は栄光への架け橋だ!」
NHKの刈屋アナウンサーの絶叫とともに、最後の演技者冨田が着地をピタリと決めました。28年間待ち続けた瞬間。会場のすべてが日本の優勝を確信し、明け方の日本中がテレビの前で鳥肌をたてました。ライバルのアメリカ選手たちも思わず拍手を送る中、9.850の高得点。沸き起こるニッポンコールのなか、選手とスタッフは抱き合い健闘をたたえ合いました。何度見ても感動がよみがえるすごい場面でした。