友情の超高速マラソン

 北京オリンピック男子マラソンは、予想以上の超高速マラソンになりました。その中で感動したシーンが3つありました。

 35km付近の給水所。トップ集団のケニア生まれの日本育ちのワンジル選手はスペシャルドリンクを取り損ねてしまいました。隣で走っていたエチオピアのメルガ選手は、自分のスペシャルドリンクをワンジル選手に渡しました。感謝の表情を見せるワンジル選手。その直後、ワンジル選手は加速し、後続を振り切り、ゴールしました。メルガ選手には、追いかける力はすでに残っていませんでした。そして、競技場で同じエチオピアのケベデ選手に抜かされ、第4位。メルガ選手の優しさに心が打たれる名シーンでした。ワンジル選手の金メダルは、メルガ選手の器の大きさのおかげだと思います。

 日本の尾方選手は、この高速マラソンについて行けず、途中27位ぐらいまで順位を下げましたが、その後自分のペースを守り抜いて13位でゴール。順位よりその我慢強さに拍手を送りたいと思います。

 さらに日本の佐藤選手。遅れに遅れてしまいましたが、最後まで走り続け、完走した選手の中では最下位の76位でゴール。最後までやり通すその姿にスタンドは大声援。佐藤選手の真摯な態度に感動しました。佐藤選手、完走おめでとうございます。メダルよりも尊いことを成し遂げたと思います。