レ・ドゥ・マゴー(パリ市)

 昨日のウィーンの失敗は、わたしのヨーロッパ3大失敗の一つ。今日は、その2つ目をご紹介します。

 フランスのパリに行った時、泊まったホテルは、パリの外れにあるあまりいいホテルではありませんでした。でも、朝食のクロワッサンとカフェオレがとてもおいしかったのです。特に、カフェオレは毎朝たっぷり飲んでいました。

 その日は、ちょうどリュクサンブール公園に寄ってから、オルセー美術館を朝一番に見学する予定で、朝食を食べ、急いでホテルを出発。地下鉄に乗ってリュクサンブール公園に到着しました。

 公園に着いてから、朝食の大量に飲んだカフェオレがきき、トイレに行きたくなりました。ホテルでトイレに行くのを忘れていたのです。

 そこで公園の管理人さんに片言のフランス語でトイレの場所を聞くと、容赦なく早口の大量のフランス語が返って来ました。全く分からないわたしは、英語に変えると、たてつづけにフランス語を話すのです。呆然として何を言っていいかわからないわたしを見て、最後に「クローズドゥ。」と管理人は言いました。最初から英語が話せたのにフランス語を使い続け、おまけに「トイレは時間になるまでしまっている。」という意味の返事。本当にがっかりしました。

 もうがまんできないわたしは、仕方なく入れそうな店を探しながら大通りを目指しました。目指すは、サンジェルマン通り。地図では1kmぐらいしかないように見えますが、下半身に負担をかけずにゆっくり歩くしかないわたしには、10Kmくらいに感じました。

 あと一歩で「パリでおもらし」というはずかしい結果になりそうな時、サンジェルマン通りがやっと見えてきました。正面には美しい教会とカフェらしいお店。やっとのことお店の中にたどり着いたわたしは、メニューの中の「カフェ・クレーム」というのを注文して、すぐに地下のトイレに急ぎました。

 朝食の大量のカフェオレを排出し、すっきりして座席にもどってくると、そこには、大きなカップに入った「カフェオレ」が置いてありました。「カフェ・クレーム」は「カフェオレ」と同じような飲み物だったのです。せっかく「カフェオレ」とたった今別れたのに、「カフェオレ」はもうたくさんと思い、半分くらい飲んで、開館時間がせまっているオルセー美術館に出発しました。

 あとで調べたらトイレを借りたカフェは『レ・ドュ・マゴー』という有名なカフェで、実存主義者のサルトルなどがいつも来ていたカフェでした。

 みなさん、「パリでは相当自信がある人以外は、フランス語を話さない。」「出発前には必ずホテルを出る前にはトイレによる。」ということを気をつけて下さい。