一期一会

 一昨日、NHKスペシャルで、『望郷』というドキュメンタリードラマをやっていました。今年は、終戦60年のということで企画されたものです。

 1945年、軍医だった渡辺俊男は中国で敗戦を迎えソ連奥地のエラブカ収容所に抑留されました。そこには2万人の日本兵より先にドイツ兵が収容されていた。その中のひとり、アナトリエ・アールヒップという男と渡辺は言葉を交わすようになる。彼は、ドイツ軍の占領下にあってドイツ軍とともに参戦し捕虜になったルーマニア兵だった。そのため辛い目に合わされていた彼と渡辺は親友になった。そして、過酷な収容所の日々が続く……。

 シベリアでの収容所での生活は、想像以上にひどいものでした。ロケは北海道の稚内で行われたそうですが、実際の気候はもっともっと寒かったと思います。そして、重労働と食料のない生活。渡辺さんとアールヒップさんは、いつ凍死してもおかしくないような厳寒の地で、友情を温めていったのです。

 終戦から44年たった1989年。チャウシェスク政権が崩壊したルーマニアから、突然、収容所の苦しい生活を生き抜いて日本にもどっていた渡辺さんの元に手紙が届きました。それは、アールヒップさんからの手紙でした。収容所で渡辺さんと別れ、シベリアの奥地に行かされた彼は生きていたのでした。そして、2002年、56年の歳月の後、病身のアールヒップさんに会うために渡辺さんはルーマニアの地を踏みました。最後の二人の再会の映像は、実際のものでした。たくさんの人々がシベリアで亡くなる中、二人とも生き抜くことができて本当によかったです。アールヒップさんは、病気だったので、話はできなかったのが残念でした。ルーマニア民主化が始まって13年。もっと早く二人を会わせてやりたかったです。

 『戦争で負けてたった一つよかったこと。それは、きみに会えたこと』

 どんなにつらい状況の中でも、人と人との出会いを大切すること、それを積み重ねていくことが、その人の人生を豊かにしていくのだといくことを教えてくれたすばらしいドラマでした。

 今日で、2年4組は家庭訪問が終了します。お忙しい中、初めて顔を合わせお話ができ、たいへん貴重な時間を過ごすことができました。本当にありがとうございました。せっかく2年4組で出会えた児童と保護者と担任です。これから3月まで、いろいろな言葉を交わし、コミュニケーションを図りながら、この1年間を大切に過ごしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 一期一会。授業参観や学級懇談会、連絡帳での交換日記、学級通信など、さまざまな場面でみなさんとの親交を深めたいと思います。心豊かな人生にするために……。

(明日から2年4組では家庭訪問はありません。木曜日までは短縮授業なので、授業中にやるべき課題が終わらなかった子は、放課後やってから帰りますので、少し下校時間が遅くなると思います。急に現実に引き戻すようで申し訳ありませんがご了承ください。)