朝のリレー

カムチャツカの若者が
きりんの夢をみているとき
メキシコの娘は
朝もやの中でバスを待っている
ニューヨークの少女が
ほほえみながら寝返りをうつとき
ローマの少年は
柱頭を染める朝陽にウィンクする
この地球では
いつもどこかで朝がはじまっている

僕らは朝をリレーするのだ
経度から経度へと
そうしていわば交替で地球を守る
眠る前のひととき耳をすますと
どこか遠くで目覚まし時計のベルが鳴ってる
それはあなたの送った朝を
誰かがしっかりと受けとめた証拠なのだ

谷川俊太郎『朝のリレー』より

 先日、車の中でラジオを聴いていたら、あるコーヒーのCMで上のような詩が朗読されました。すごくいい詩だと思いました。

 自然はどんなことが起ころうとも変わりなく日は昇り、そして沈む。だけどもわたしたちの町が暗闇に沈んでいるとき、朝を迎える人がたくさんいるのですね。そして、またわたしたちはその人たちから朝を受け取るのです。

 これを繰り返しながら、2学期の大きな行事を乗り越え、みなさんは成長しつづけてきたのですね。いよいよ今年も終わります。そして、新しい年の幕開け、元旦も24時間かけて地球上をリレーしていくのですね。そう考えるととてもうれしいですね。

 4月からいろいろご協力をいただいありがとうございました。みなさんにとって2005年がよい年になることを祈っています。

朝のリレー

朝のリレー