チップは用意すべきか?

 お客さまから一番質問が多いのがチップについてです。日本では習慣がないので戸惑うのも当然でしょう。

 中でも一番質問の多いのが枕銭。でも、ヨーロッパでは枕銭の習慣はありません。地元の人は置きません。長期滞在したとか、部屋を汚してしまったとか言うのなら別ですが。置くのは日本人だけです。

 ではなぜガイドブックに必ず書いているのか?ガイドブックは間違っています。添乗員同士で考えた結果ですが、

アメリカでは枕銭を置く→昔の日本のガイドブックはアメリカのものを参考にしていた→海外旅行=どこでも枕銭が定着した→ガイドブックを作る側もそれが習慣と思い込んであえて調べなおさない

と、こんなところではないかと考えています。あくまで想像ですか。

 とにかく、ヨーロッパでは誰に聞いても枕銭を置かないといいます。それなら日本人も置く必要はないでしょう。でもそういっても信じてくれません。置くのはご自由です。でもそのためにフロントでわざわざ両替してもらったりすることはないと思います。ホテルも大挙して「コイン、コイン」といわれて困っています。

 もっと困っている、というより困るのを通り越して怒っているのが成田の両替所。
「ここにはコインがないの? 枕銭が払えない!」
とよく窓口で話している人を見かけます。成田ではどこの銀行でも、「コインは扱っていません」と張り紙がしてあります。これは決まりがあって、成田にコインがないのではありません。日本中の銀行では外国のコインを扱ってはいけないのです。逆に外国では日本のコインは扱っていません。コインは自国内でしか扱えないことになっているからです。旅行の最初でコインがないのは仕方ないことです。

 イロイロ不便なこともあるのに、真っ先に赤の他人のメイドの心配をすることはありません。顔も知らない人ではありませんか。その顔も知らない赤の他人のメイドに払うチップのために、フロントの人や成田の銀行員を困らせていることを気が付いてほしいです。

 メイドよりもツアーだったら、ドライバーにチップを渡すべきです。そちらの方がよほどお世話になっています。金額は、小銭なら渡さないほうがマシです。私も100円200円「チップだ」と言われてもムッとしますし、それはドライバーも同じことです。日数にもよりますが、日数×2ユーロくらい。あくまでも目安ですが。最後にお札を八つにたたんで握手するようにして渡せば大丈夫です。

 ツアー中にはチップが必要なことはあまりありません。トイレチップもツアーだったらショッピング立ち寄りがあるので、そこで利用すれば必要ありません。自由行動中、もしタクシーに乗ったら、1ユーロ未満を切り上げで渡せば大丈夫です。例えば4.2ユーロでも4.8ユーロでも5ユーロで支払い。もちろんおつりをしっかりもらっても別にどうということはありません。

 レストランやカフェではボーイが注文を取りにくるスタイルのところならチップは必要です。その時は最後にレシートをチェックし、サービスチャージが含まれているかどうか確認します。含まれていなかったら10パーセントくらい、あくまで目安ですが。クレジットカードでの支払いの時、レシートに自分でチップを記入する欄があります。そこに記入して、カード引き落としにしてもいいし、カードで食事代だけ支払って、チップ分を現金にしてもいいです。

 でも例えば私ごときが海外で自由行動中利用するレストランはそんなに高くないので、食事代に1ユーロとか2ユーロプラスしておいています。